自分のクリエイティビティに気づく方法
「クリエイティビティ」と聞くと、多くの人が「特別な才能」や「天才的なひらめき」を想像します。
しかし、実際にはクリエイティビティは誰もが少なからず持っている力であり、それをどのように引き出し、活用するかがポイントです。
私は広告会社でコピーライターを10年間経験し、仕事を通じて自分のクリエイティビティを深く考える機会がありました。
(最後はあきらめて営業に異動しましたが・・・)
その中で、クリエイティビティは「コンセプトメイク」「アイデア抽出」「表現力」という3つの要素に分けて考えられることに気づきました。
そして、これらをうまく機能させるためには「心理的資本」が大きな役割を果たします。
クリエイティビティを分解して考える
いいアイデアが出てこないからと言って「自分にはクリエイティビティがない」とあきらめるのは早いかもしれません。
もしかしたらあなたには別のクリエイティビティが隠れている可能性もあります。
コンセプトメイク
コンセプトメイクとは、「核心となるアイデア」や「方向性」を導き出す能力です。
広告の世界では、そのサービスや商品の本質そして顧客のニーズを理解し、それを短い言葉やビジュアルで様々なメディアを使って魅力的に伝える構成力が求められます。
私はこの部分を得意としていました。たとえば、ある商品の広告キャンペーンを考える際、その商品の魅力を伝えるだけでなく、その商品を軸にムーブメントを起こす仕掛けを含めた大きなフレームワーク作りが好きでした。
しかし当時はそこから先の実際のアイデアやキャッチフレーズなどの表現まで求められたのでそこで行き詰ってしまって「自分には才能がない」と思い込んでしまいました。
しかしいまは「アイデア」や「表現」は人に任せて、「コミュニケーションデザイン」という役割で、コンセプトメイクだけで活躍することができる時代です。「プロデューサー」はその筆頭かもしれません。
アイデア抽出
「コミュニケーションデザイン」で次に必要なのが、コンセプトを実際の形にするための「アイデア抽出」です。
ここでは、具体的なアイデアを数多く出すスキルや柔軟な発想が求められます。
このプロセスは、多くの場合、ブレインストーミングやリサーチ、他者との意見交換を通じて進みます。
私自身、この部分は得意とは言えませんでした。
考えすぎるあまり、アイデアが一向にまとまらないこともありました。
ここで重要なのは、失敗を恐れずに何度も挑戦する「Resilience(乗り越える力)」です。
「心理的資本」が高い人は、「まず試してみよう」という楽観的な態度でアイデアを出しやすいのです。
表現力
最後が「表現力」です。
これは、アイデアを魅力的に伝える技術や感性のことを指します。
たとえば、コピーライティングの文章力やデザインセンス、プレゼンテーション能力がここに含まれます。
正直なところ、私はこの部分に限界を感じ、最終的に営業職へ異動しました。
表現力が弱いと、どんなに良いコンセプトやアイデアを持っていても、相手に伝わらず終わってしまうことがあります。
また「誰も見ないだろう」と思われるような細部にまでこだわる粘り強さも必要になります。
「心理的資本」でクリエイティビティを強化する
クリエイティビティの3要素を活用する上で重要なのが「心理的資本」です。
「心理的資本」は、「Efficacy(効力感、自信)」、「Optimism(現実的な楽観性)」、「Hope(希望、目標)」、「Resilience(乗り越える力)」という4つの要素(リソース)で構成されており、それぞれがクリエイティビティを強化する鍵になります。
「Efficacy」と「挑戦する力」
「自分ならできる」という自己効力感が高いと、難しい課題にも果敢に挑む姿勢が生まれます。
たとえば、表現力に自信がなかった私も、「挑戦すれば改善できる」と考えられていたら、また違う道が見えていたかもしれません。
「Optimism」と「柔軟な発想」
「Optimism」は、困難な状況でもポジティブに捉える力です。
アイデア抽出の段階で、「こんな案はダメだ」と決めつけてあきらめるのではなく、「失敗してもまたやり直せばいい」と考えることで、自由な発想が生まれます。
「Hope」と「目標への一貫性」
「Hope」は、目標を達成するために粘り強く努力する力です。
クリエイティビティは一朝一夕では身につかないため、長期的な視点で自分を高める意識が重要です。
「Resilience」と「挫折からの回復力」
「Resilience」は、失敗や批判から立ち直る力です。
クリエイティブな仕事には批判(低評価)がつきものですが、「心理的資本」が高い人は、批判(低評価)を受けても再挑戦できる精神的な強さを持っています。
自分らしいキャリアを見つけるために
10年間のコピーライター経験を通じて学んだのは、クリエイティビティは万能ではないということです。
すべてのスキルを完璧に持つ必要はなく、得意な部分を伸ばし、弱点は他の方法で補完すればよいのです。
たとえば、私は営業職に移ることで、自分の得意なコンセプトメイクを活かしながら、表現力に関しては他者の協力を得る形でキャリアを築き直しました。
「心理的資本」の視点から見ると、クリエイティビティを活かすキャリア形成では、自分の強みを認識し、それを信じて行動する「Efficacy」と、失敗を恐れずに再挑戦する「Resilience」が特に重要です。
まとめ
クリエイティビティを「コンセプトメイク」「アイデア抽出」「表現力」に分けて考えることで、自分の強みと弱みがより明確になります。
そして、「心理的資本」を活用することで、それぞれの要素を効果的に発揮できるようになります。
キャリアに行き詰まりを感じている人も、「心理的資本」を鍛えることで、自分らしい成長を実現できるはずです。
(ホリシン)
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