あなたは体育会で得たものを仕事に生かしていますか?
日本の大学の「体育会」とは、単なるスポーツクラブではなく、ハードトレーニングや厳しい人間関係、勝負に挑む精神を叩き込まれる特別な場です。
私自身も4年間大学の体育会サッカー部に所属し、学業を犠牲にしてまで毎日練習に打ち込みました。
夏の「死の合宿」の体力トレーニングや、ある大会の決勝で自分のミスが敗因になり、打ちひしがれた際にチームメイトに支えられた経験など、苦しいながらも得たものは大きかったと感じています。
一方で、体育会の存在には負の側面があります。
「上下関係の理不尽さ」「学業の軽視」、また「単細胞」と呼ばれるように「フレキシビリティのない人間性」などマイナス面を語る人も少なくありません。
それでも、この厳しい環境で得たせっかくの経験を、社会に出てから生かせるかどうかは自分次第です。
ここで鍵となるのが「心理的資本」です。
体育会で培われた「心理的資本」とは?
「心理的資本」とは、「Hope(希望、目標)」、「Efficacy(効力感、自信)」「Resilience(乗り越える力)」、「Optimism(現実的な楽観性)」という4つのリソースから成り立つ、「心のエネルギー」を表す概念です。
4つのリソースの頭文字をとって「HERO」と呼ばれます。
そして私が思うに、この「HERO」は、特に体育会出身者には体育会での経験を通して自然と養われているのではないでしょうか。
私が就職試験を受けた頃は、日本の企業の多くは無条件に体育会出身者を採用していました。
大学の成績が凡庸だった私自身がなぜか大手の広告会社に採用されたのもおそらくは体育会出身だったからだったと今でも信じています。
これはやはり体育会出身者が備えていた独特の「心理的資本」が採用後の現場で評価されていたからに他なりません。
それは体育会出身者は以下のような「心のエネルギー」が普通の人間より多く秘められていると思われていたからではないでしょうか。
Hope:目標に向けて立ち向かう力
体育会の活動は、常に高い目標との戦いです。
「次は勝つ」「自分をもっと成長させる」という「Hope」がなければ、厳しい練習を続けられません。
私も、同じリーグの東海大や関東学院大という強豪に勝つことを夢見て、毎日必死に練習しました。
結果が伴わないときもありましたが、「Hope」を失わずに挑戦し続けた経験は、今のキャリアでも大きな支えになっています。
Efficacy:挑戦を恐れないマインド
体育会出身者には、多くの困難を乗り越えてきた自負と自信があります。
その経験が、社会に出てからの失敗を恐れない前向きな心を育てます。
箱根駅伝の中のCMで、サッカー元日本代表の長谷部誠氏が若者に向けて「喜んで失敗しろ」というメッセージを送りましたが、これは体育会出身者にとって非常に響く言葉ではないでしょうか。
失敗は学びの機会であり、乗り越えるたびに「Efficacy」(効力感と自信)が育まれます。
この「心のエネルギー」が仕事でも役に立ちます。
Resilience:逆境から立ち直る力
度々敗北や大きな挫折を味わうのも体育会の宿命です。
大会の決勝で私のスライディングタックルのミスによってPKを取られ負けたとき、私は立ち直れないほど打ちひしがれましたが、チームメイトの「おまえのせいじゃない」「来年は負けないぞ」という言葉に救われました。
この経験から、どんな苦しい状況でも立ち直れる心の強さを得たと思います。
社会に出ると、逆境や困難は避けられませんが、この自分の「Resilience」を信じる「心のエネルギー」があれば、何度でも挑戦し続けることができます。
Optimism:ポジティブな視点で未来を描く力
体育会では、物事を前向きに捉える力が自然と身に付きます。
「練習を続ければいつか勝てる」「今の苦しみは未来につながる」といった、練習があるからこその「現実的な楽観性」は、体育会出身者ならではの辛い時期を乗り越えられる「心のエネルギー」になります。
この「現実的な楽観性」は、仕事でも新しいプロジェクトや困難な交渉に挑むときに役立ちます。
体育会のプラスマイナス:厳しさの中で得たものと乗り越えるべき課題
体育会の経験には大きなメリットがある一方で、見過ごせない課題も存在します。
社会に出たら「体育会出身」をひけらかすのではなく、あくまでメンタルの「バックボーン」として生かすノウハウを身に付けましょう。
【プラス面】自己管理能力とリーダーシップ
体育会出身者は、自己管理能力が高く、チームをまとめるリーダーシップを持っていることが多いと言われます。
特に、試合に勝つために自ら考え行動する自律力は、社会に出てからも役立ちます。
【マイナス面】理不尽な上下関係や過度な同調圧力
一方で、体育会の厳しい上下関係や過度な同調圧力が自然と表に出てしまうこともあります。
現代社会では多様性が求められます。
体育会の文化をそのまま職場に持ち込むのではなく、柔軟性を持って対応することが必要でしょう。
体育会出身者が「心理的資本」を生かしてキャリアで成功する方法
現代では昔と違って「体育会」はブランドにはならないのかもしれません。
しかしその得難い経験がいまの自分の個性を形作っていることは間違いありません。
内に秘めた「体育会魂」を仕事にも生かして、ポジティブなキャリア形成を実現しましょう。
希望を持って目標を描く
体育会で培った「Hope」を生かし、明確なキャリア目標を設定しましょう。
ゴールを描くことで、仕事へのモチベーションが高まります。
挑戦を恐れず自信を育む
新しいことに挑戦するたびに自信は育ちます。
「喜んで失敗しろ」という長谷部誠氏の言葉を胸に、失敗を恐れず一歩を踏み出しましょう。
逆境を成長の糧にする
「Resilience」を生かして、逆境を成長のチャンスと捉えるマインドを持ちましょう。
辛い経験も「自分を磨く機会」と考えると、次の行動に移しやすくなります。
ポジティブに未来を描く
「Optimism」を持って、常に「良い方向に進む」と信じることが、仕事や人生を前向きに進める鍵です。
まとめ:体育会で得た財産を「心理的資本」で磨こう
体育会での経験は、確かに厳しいものでした。
しかし、その厳しさの中で培った体育会出身者ならではの「Hope」、「Efficacy」、「Resilience」、「Optimism」という「心理的資本」のレベルの高さは、社会に出てからも必ず役に立ちます。
あなたが体育会で得たものを無駄にせず、仕事やライフワークに生かすために、自分の「心理的資本」を意識してみてください。
それは、あの厳しい環境でしか得られなかった貴重な財産であり、あなたの成長を支える「心のエンジン」となるはずです。
体育会で過ごした日々の苦しくも楽しかった思い出を心に刻みながら、これからも新しい挑戦を続けていきましょう。
(ホリシン)
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