一冊の本が人生を変えるかもしれない。きょうもまた本を読む。
電車に乗ったらすぐ文庫本を開く。私の何十年も前からの習慣です。
座っていても立っていても同じ。スマホも居眠りも無縁です。
そして行くところがなければブックオフか図書館に行きます。
「NO BOOK ,NO LIFE」
私の心は、「本」という栄養で育ってきたような気がします。
読書と「心理的資本」の関係
本を読む時間は多くの人にとって自己投資の一つです。
もちろん自己啓発関連の実用書には直接的な自己変革の効果が期待できます。
また小説であれば、ストーリーの中に没入し、登場人物の感情や行動に共感する疑似体験によって、自己理解や成長のきっかけになります。
私は、日本心理的資本協会認定の「PsyCap Master(心理的資本開発士)」として、読書は「心理的資本」を高める力を持つと考えています。
ここでは、読書体験がどのように「心理的資本」の開発やアップデートにつながるのかを、自分の経験も交えながらお伝えします。
「心理的資本」は4つのリソースから成り立っている
「心理的資本」(Psychological Capital)は2006年にアメリカのネブラスカ大学経営学部のフレッド・ルーサンス教授によって提唱されたメンタルマネジメントの新しい概念です。
最近は経営学の文脈で引用されることが多く、企業が「人材マネジメント」の指標として使ったり、社員のキャリア形成のために必要な資質として注目されています。
日本には2020年に「こころの資本」という本で初めて紹介されました。
そして「こころの資本」によれば、この「心理的資本」を構成している要素が「HERO」という、人が備えている4つの「心のリソース」なのです。
「HERO」は4つのリソースの頭文字をとったものです。
Hope(希望、目標)
Efficacy(効力感、自信)
Resilience(乗り越える精神力)
Optimism(現実的な楽観性)
この「HERO」を常に意識し、アップデートすることで、キャリア形成や人生のウェルビーイングに向けてポジティブに行動できる「心のエンジン」として機能するのです。
本を読むことは、この「HERO」の一つ一つに良い影響を与えるのではないでしょうか。
読書がもたらす「Hope」の力
「心理的資本」の要素の一つに「Hope(希望、目標)」があります。
「Hope」とは、どんなときでも目指すべき目標を設定し、ときにはそれを柔軟に修正しながら道筋を描き、そこに向かって努力を続ける力です。
私の愛読する宮本輝さんの小説の多くは、登場人物が夢を逆境を乗り越えつつ夢を追い続ける姿を通じて、この「Hope」の力を感じさせてくれます。
私自身、広告会社のコピーライター時代に「自分にはクリエーティビティが足りないのではないか」と悩み、営業職に転じた経験があります。
この転機も、挫折の中でも次の一歩を模索する「Hope」に支えられていました。
小説を通じて得た物語の教訓が、自分を前向きにさせる力になるのです。
「Efficacy」と「Resilience」を磨く読書体験
「心理的資本」の中で「Efficacy(効力感、自信)」と「Resilience(乗り越える力」も重要です。
「Efficacy」に含まれる「自信」は、困難なタスクにも挑戦できるという感覚です。
また、「Resilience」は「逆境を乗り越え立ち直る力」です。
宮本輝さんの小説の一節で、主人公が自身を振り返り、「オレは周りの流れに合わせて、あっちへ行き、こっちへ行き…」と自己反省をするシーンがあります。
このフレーズは私自身にも刺さりました。
私のキャリアも、ただ流れに身を任せながら、与えられた道を歩いてきたものでした。
しかし、振り返ると、その「流れに乗る」生き方こそが、私の強みでもあったことに気づきました。
この気づきは、「自己認識」を深め、「心理的資本」の成長を促してくれたと感じています。
読書は、他人の言葉を借りて自分を見つめ直すきっかけを与えてくれるのです。
「Optimism」を育む言葉との出会い
「Optimism(現実的な楽観性)」は、現実を理解しながらも良い結果を期待し、困難にも前向きに対処する力です。
宮本輝さんの小説の中で私が特に感銘を受けたのは、宮本さんが引用した「石に一滴一滴と食い込む水の遅く静かな力を持たなくてはなりません」という一節です。
あの彫刻家のロダンの言葉を高村光太郎が訳した名言です。
これは、「物事はすぐには解決しないけれど、継続すれば変化が生まれる」というメッセージを伝えています。
営業時代、25年間同じクライアントを担当した私のキャリアそのものが、この言葉に象徴されているように思います。
クライアントとの信頼関係を築くには時間がかかりますが、コツコツと努力を積み重ねることで築いた関係は、強固で長続きします。
読書が「心理的資本」をアップデートする理由
このように「心理的資本」の「Hope」「Efficacy」「Resilience」「Optimism」は、日々の経験や人との関わりだけでなく、読書の体験からも養われ、そしてアップデートすることができます。
特に、物語に触れることで以下のような効果が得られます。
- 他者の経験を通じて視野を広げる
- 登場人物との共感を通じて自己理解を深める
- 物語の中に描かれる希望や再生のメッセージからエネルギーをもらう
読書は、「心理的資本」を磨く「トレーニング」の一環とも言えるでしょう。
まとめ:読書で心を強くする一歩を
私は、広告会社で35年、IT会社で6年間のキャリアを歩む中で、多くの書籍から得た言葉や物語が、自分を支えてくれたと感じています。
そして「心理的資本」を高める視点から見ても、読書は非常に有効な手段です。
もし、あなたがキャリアや人生に悩んでいるなら、ぜひ本を手に取ってみてください。
一つのフレーズ、一つの物語が、あなたの心を強くし、新しい一歩を踏み出すきっかけになるかもしれません。
読書の時間が、あなた自身を深く理解し、成長させる旅となりますように。
私のおすすめの一冊です。
(ホリシン)
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